赤ちゃんが泣く時、不快を感じている・・・

赤ちゃんが泣いているとき、何らかの不快を感じています。
ここでは、赤ちゃんがなぜ泣いているのか?その原因を探る手順をご紹介します。
本来この手の内容はおばあちゃんから知らず知らずのうちに伝授されていたものですが、最近はおばあちゃん自体があまり良く知らない方がいたり、核家族化でうまく教われない家族が増えてきています。
そんな方々に私たちが行っている方法をお教えします。

赤ちゃんが泣いているとき、まずその原因を以下の様に大きく2つに分けて考えます。


1:精神的な原因での泣き
2:肉体的な原因での泣き


それぞれは、赤ちゃんを(身近な人が)抱っこしてみて、すぐに泣き止むか、泣き止みにくいか?で判断していきます。

※はっきりと区別付けがたいものも存在します。(それぞれの原因が少しずつ混在している例など・・・)
・人見知りの時期を過ぎると身近な人間でなければ泣き止みません。これは、見知らぬ人に抱っこされることに対する精神的不快を意味します。
・抱き方が不安定だったり、固い抱き方では泣き止みません。これは、精神的や、肉体的不快の混合と考えます。
・良好な親子関係が出来ていない養育者が抱っこした場合も泣き止みません。これは精神的不快によるものと考えます。

1)肉体的泣き
通常、肉体的原因で泣く場合の泣き声はその子における最大の泣き声で泣いてきます。

肉体的泣きの原因は以下の様なものがあります。

空腹 哺乳量と哺乳時間の関係から推測できると思います。
温度 暑い季節
 外気との差は5℃以内
 (汗をかいていないか)
寒い季節
 25℃前後
排泄 オムツcheckして確かめます
紙おむつではあまり泣いてきません
痛み 便秘・ゲップ不良による空気嚥下からくる腹痛(夜間急激に泣いたと思ったら、15分くらいで急に泣き止んで眠ってしまうなど)
湿疹・虫さされが多数あれば、泣いてきます。
また、虐待による骨折がある場合も見逃してはいけません。
痒み ひどい湿疹、多数の虫刺されなどで泣いてきます。
風邪など、病気の前駆症状 発熱する30分前くらいから泣くなど、前駆症状として泣く場合があります。
 ・体温測定
 ・吐乳・哺乳量低下の有無
 ・便性の変化
 ・顔色
  などをcheckしてください
病気の症状として これは、小児科特に、新生児に詳しい小児科医と相談しないと判断出来ないほど難しいものがあります。(軽度の胃食道逆流や喉頭軟化症など)

2)精神的泣き
新生児期から精神的な原因で泣くことがあるのでしょうか?
実は、あるんです。以下のような原因があります。

月齢 対処方法
0〜3ヶ月まで 胎内環境から胎外環境への適応不全 赤ちゃんは10ヶ月間、子宮の中でずっと暮らしてきました。
子宮の中は・・・
 ・暗く
 ・静かで
 ・母親の心音だけが聞こえており
 ・ゆらゆらと羊水中を漂い
 ・体の全周囲が子宮の壁に接した状態で
  ずっと暮らしてきました。

この原因で泣いている場合、赤ちゃんを子宮の中にいる状態と同じように扱うと、スヤスヤと眠ってくれます。
・お風呂の時など激しく泣く場合、胸にタオルを置いてやる
お包みバスケット型にベッドメイクしてやる
心音の音を聞かせるおもちゃを使う
・横向きや、うつ伏せで呼吸状態に気をつけてやさしく抱いてあげる。
・ゆらゆらとゆっくりやさしく揺らす。
1ヶ月〜4ヶ月頃まで 抱き癖 とにかく抱けば泣き止む場合に疑います。これも一種の胎外環境への適応不全と考えられます。(胎児期はゆらゆら揺れて暮らしていましたから・・・) 抱いても、抱き続けず、一定時間ほうっておいて再度抱いてやる
スイング式ラック、ゆりかご
2ヶ月〜2歳頃まで 寝ぐずり 入眠前と、覚醒直後、まだ眠い状態の半覚醒状態で泣きます。 入眠前の寝ぐずりなら、すぐ眠るので、抱っこして背中をやさしくたたいたり、ゆりかご・おしゃぶりでごまかしている間に眠ってしまいます。
3ヶ月〜2歳頃まで 夜鳴き 睡眠サイクルの不安定から、夜間に昼間と勘違いして覚醒してしまい、周りが暗く、静かで親が近くにいない為泣いてしまう。下記の情緒的泣きと混ざっていることが多いです。 対処方法は後述します。
4ヶ月〜無制限 性格的・情緒的泣き この時期からは自我が出てきます。こうなると、その子供の考え方や性格が複雑に啼泣と結びついており、パターン的な対処方法は出来ません。 日ごろのその子個々の性質を考慮して原因を探り、対処していく必要があります。
家庭の雰囲気や親の不適切な育児、日中のストレスの強さなど・・・。
2歳頃から 夜驚症 これは精神的とも肉体的とも考えられます。てんかんではないにしろ、脳細胞の興奮状態によるものです。 脳波検査を行いつつ、総合的に、てんかんでは無いことを確かめる必要があります。加齢とともに治癒するので、暴れて怪我をしないように寝る部屋の危険部位をガードします。


まとめ

以上のような原因がありますので、まとめますと以下のフローチャートとなります。
※あくまで、標準的な鑑別方法ですので、このチャートのとおりうまくいかない事態はありえます。
どうしても分かりにくい場合は新生児に詳しい小児科医と相談してください。

Q:精神的不快で泣いている赤ちゃんをあやし続ける必要がありますか?放っておいたら赤ちゃんの性格が悪くなりますか?

A:難しい質問だと思います。まず、赤ちゃんの性格が悪くなるのか?について、ですが、赤ちゃんの年齢にもよると思いますが、3ヶ月くらいまでは自我が出ていませんので、影響してこないと考えますが、4ヶ月を超えてきますと、放っておくストレスから指しゃぶりが誘発されることがあります。完全放置は無論、虐待(ネグレクト)を疑う状態です。しかし、よく泣く(泣きすぎる)赤ちゃんをあやさなければならないという強迫観念に駆られた結果、親の睡眠不足から虐待に走るケースも考えますと、両親の出来る範囲であやしてあげればよいと考えます。

 つまり、通常のご両親が努力できる範囲内であやしてあげる。大変と感じる部分は放っておき、放っておくことが多いようなら地域保健婦に相談し、育児援助を受けるというのが一般的指導方法です。
なお、泣きっぱなしで放っておく時間は30分以内と指導しています。通常精神的原因で泣くこどもは、30分くらい泣いたら泣きつかれて眠ってしまう事が多く、それを越えて泣き続ける場合は、肉体的不快で泣いている場合があるので、もう一度checkしてあげる必要があるからです。

以上の状況を踏まえた上で、精神的原因で泣く赤ちゃんで、特に生後3ヶ月未満児に対してのみ(つまり自我発生前まで)有効な泣き止ませ方があります。
これは、赤ちゃんの持つ反射と、胎内環境を好むという特性を利用したものです。

1)おくるみで上半身をぐるぐる巻きにする。 子宮の壁で全身が覆われていた時期を再現してあげることで鎮静させる狙いです。
巻き方はこちらを参照ください。
母子整体研究会では『おひな巻き』という巻き方を提唱しているようですが、専用の布が必要なようです。
2)横向きまたは、うつ伏せにして・・ 胎児期の姿勢の模倣です。
3)ゆっくりゆらゆらと揺らす これも胎児期の姿勢の模倣です。羊水の中で浮かんでいた時、母の体動で揺れていました。
電動で揺れるラックが販売されています。(なかでも振り子型のラックは効果が長持ちします。水平に揺れるタイプは効果が長持ちしません。)
4)おしゃぶりを咥えさせる 吸啜反射から鎮静されるのを狙っています。
5)ホワイトノイズを聞かせる 口で「シーッ」という音を出し続けるか、ラジオやテレビでのノイズの音(シャーという音)、ドライヤーの騒音は母親の心拍音の成分を含むため、この音で鎮静されるのを狙っています。
心音のするおもちゃは、定価3〜4千円程度で売られています。

この方法は、The Happiest Baby on the Block: The New Way to Calm Crying and Help Your Baby Sleep Longerという本に書かれており、日本語訳も出ています。また、「赤ちゃんがピタリ泣き止む魔法のスイッチ」というタイトルのビデオもあります。探してみてください。

※4ヶ月を超えますと自我が発生し、記憶力も向上しはじめますので、単純な方法(鏡を見せる、口元に手を持ってきたり離したりしてアバアバさせる、音を聞かせる)で一旦泣き止んだとしても繰り返す事で慣れが生じ、泣き止まなくなります。4ヶ月を超えた赤ちゃんは様々な刺激に興味を示し、新しい刺激を求めるようになり、刺激を与えることで泣き止みます。4ヶ月を超えた赤ちゃんが泣く時、親があやさず、単調な方法で泣き止ませる方法を頻用する(例えばテレビを見せる)ことは、社会性(言葉やコミュニケーション)の発達を鈍らせ、前頭葉の血流が低下し、短気な子どもを生み出しかねません。


さて、胎内環境を模倣して泣き止ませる事は赤ちゃんにとって必要なのでしょうか?
胎内環境を恋しがって泣く行為は胎外環境への適応不全と考えられます。Harvey Karp先生は生後3ヶ月間は“Fourth Trimester”(妊娠第4期)と呼び、この期間は、できるだけ赤ちゃんをママのおなかのなかにいた状態に近い状態に置いてあげようということを提唱しています。しかし、そうすれば、赤ちゃんにとってどのような利益があるのか?については、誰も知らないと言えます。胎外環境への適応を妨げている、遅らせている事に対して、悪い影響は無いのか?などの疑問についても、今のところ答えはありません。
しかし、厳しい泣き声で睡眠不足から虐待にいたってしまう両親の存在を考慮すると、親子両者にとって、この方法は必要だろうと考えています。


最後に・・・

あなたの子供が泣いたとき、一息いれて、決して強く揺さぶらない

 乳児を世話することがいやになることがあり、泣いている目的が判らないときは特にそうです。あなたの子供が泣いて静かにさせようとしてもうまくいかない時、あなたの気分をコントロールすることが重要です。強く揺さぶったり、投げつけたり、叩いたりすることは決して許されることではありませんし、そんな事をすれば、余計に激しく泣き、あなたの気分はさらに損なわれます。
理性のコントロールを失いそうに感じたら・・・
  ◆深呼吸をし、10数えること。
  ◆一息いれて、赤ちゃんを1人で泣かせること。
  ◆理性を支えるため、近くにいる誰かを呼ぶこと。
  ◆地域保健婦・子供家庭支援センター・小児科医に相談すること。


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生馬医院
小山 博史
和歌山市吉田436

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