〈母乳の利点について〉
現在分かっている範囲内での母乳の利点について列挙します。
1)病気にかかりにくくする。
免疫物質が含まれているので病気を防ぎます。ユニセフの発表では、6ヶ月以上母乳単独で栄養された児と人工栄養だけの児を比べると、肺炎の罹患率が30倍違うといわれています。
2)栄養のバランスが良く、消化に良い。
母乳のたんぱく質は粉ミルクに比べて半消化状態なので、腸にやさしいです。ですから下痢などの時にも飲み続けられるわけです。1500g未満の未熟児は母乳なら飲めますが、人工ミルクでは腸が壊死してしまいます。(ただ、消化しやすいということは、逆に腹持ちが悪く、2〜3時間ですぐ空腹になるということです。)
3)腸内で正常細菌を増殖させる。
赤ちゃんの腸内で繁殖する正常細菌はビフィズス菌と乳酸菌です。
これらの細菌は通常お母さんの腟内に存在し、赤ちゃんが経膣分娩で腟内を通過中に初めて接触し、それが母乳によって栄養され、赤ちゃんの腸内で増殖します。しかし、人工乳で育てられた赤ちゃんの腸では大腸菌(成人と同じ細菌)が増殖し、希に血液中に移動し、赤ちゃんに重症感染症を引き起こす場合があります。(ただし、最近の人工乳は乳酸菌やビフィズス菌が増殖しやすい様に改良が加えられはじめています。)
4)母体の回復を早める。
乳首を吸われることにより、オキシトシンというホルモンが分泌され、子宮の収縮を促進させ、悪露の排泄を促します。
また、周産期に増加した母親の体重は母乳を吸われることによって減少しやすくなります。(体重3kgの赤ちゃんはお母さんから300kcal分のエネルギーを1日に母乳から吸い取ります。また3ヶ月の赤ちゃんは600kcal分の母乳を飲みます。母乳を与えないということは、1日300〜600kcal分の運動、またはダイエットが必要ということになります。)600kcalは軽食1回分です。
5)ミルクアレルギーを起こしにくい。
乳たんぱく質が人から作られているということや、半消化されていることから、アレルギー反応が起きにくくなっています。
6)子の情緒を安定させる。
吸啜による鎮静反射や、母と子のスキンシップは親子共に情緒的安定をもたらします。
7)乳がんになりにくい。
乳癌の発生率が5%程度低下します。(5%なんて減っても意味ないという乳腺科のDrもいましたが・・・。)
人工ミルクの歴史は高々数十年しかありません。母乳は人類始まってからの歴史があり、未知の栄養素が多く含まれているため、出来る限り飲ませてあげたいものです。
母乳と人工ミルクの使い分け。
出来る限り母乳を飲ませてあげたいとは言っても、生後6ヶ月頃から人工ミルクに変更して職場復帰しようと思っても赤ちゃんによっては、母乳や、母親の乳首以外受け付けなくなる場合があります。
生後2.5ヶ月を越えると、味覚が発達し、母親の母乳の味に慣れています。また、通常の人工乳首は吸って飲むのですが、母親の乳首は舌による圧迫と絞り動作で飲みますので、母乳しか飲んだことがない赤ちゃんは人工乳首での飲み方がわからず、戸惑います。(これを乳首錯乱と言います)
(最近発売されている母乳に良く似た飲み方で飲めるタイプの乳首は乳首錯乱が起きにくいです。)
生後3ヶ月までの母乳には免疫物質が多量に含まれていますが、3ヶ月以降はかなり減少します。また、2.5〜3ヶ月までは人工乳への変更は容易ですが、3ヶ月をこえると、母乳または母親の乳首以外を受け付けなくなる場合があり、働くお母さんには、生後3ヶ月前あたりから赤ちゃんに合う人工乳首や人工ミルクを探し、混合栄養へ移行し、人工ミルクに慣れさせておいたほうが、現在の社会事情に合っている場合がありますが・・・。
このあたりの判断は各自の家庭事情、職場事情で考慮していってください。
授乳の後は飲んだ空気を吐かせてあげましょう。(お座りが出来るようになる6-7ヶ月くらいまでは必要なことが多いです。)
首が座らないうちは、お母さんの肩にかつぎ上げるようにして抱き、背中をさすったり、軽く叩きます。
ゲップが出ない時も最長20分くらいまではがんばってみて下さい。(あくまでもお母さんの出来る範囲内でですが・・・)
☆おっぱいとともに飲んだ空気がたまっていると、以下の様な症状が出やすくなります。
1) おなかにガスが溜って大きなおなかになる。
2) 便秘
3) 嘔吐する(1日2‐3回、ゲボッと一気に吐きます。)
4) 突然強烈に泣き出し、あやしても泣き止まないが、しばらくすると突然泣き止み、眠る。(腹痛:主に夕方に多く、『夕暮れコリック』とも呼ばれる)
5) オナラをよくする。
※どうしてもゲップが出ない場合は諦め、飲みこんだ空気を早く出すために綿棒で肛門刺激を定期的に行い、オナラを誘発させてください。
※4)の様な症状が出る場合、幼児用浣腸(薬局で購入)を5ml程度すると、排便・排ガスとともに泣き止む事があります。