夜泣き
さて、夜泣きについて述べる前に、いったい夜泣きって何なのか?について考えます。
広義の夜泣きは、(おそらく、一般の方の理解としては)『夜に子供が泣くこと』だと思います。
しかし、先ほど子供の泣く原因について述べましたとおり、いろんな原因で泣くわけで、その原因が夜に起これば、夜に泣いてしまうわけですから、これらが全て夜泣きに含まれてしまいがちですが、このように定義してしまうと、原因と対処方法に一貫性がもてなくなってしまいます。
よって、このマニュアルでは、夜泣きというものを別項として取り上げました。
現在の考え方では、夜泣きの定義は、
| ☆睡眠サイクルが不安定な時期(4ヶ月〜1歳半)に、夜中を朝と感じ、目覚めてしまい、その環境がまったく違うことに戸惑いを感じて泣く行為 |
となっています。(ここで、入眠時の泣きではなく、入眠後、覚醒して泣く行為をしめしています。)
つまり、これは精神的不快による泣きの仲間と考えてください。
夜泣きについて調べると、まず驚くのは、西洋社会に『夜泣き』にあたる単語が無いという事でした。
欧米ではコリック(colic)と呼ばれているものが日本での夜泣きに相当する所がありますが、諸外国での発生時期は生後2週間〜3ヶ月までであり、日本独特の発生時期(4ヶ月〜1歳半)との違いがあるため、すこし違うな〜という印象をもちます。生後2週〜3ヶ月までの泣きは、先ほど自我発生前の部分で述べた内容の泣きですし、そもそもcolicとは腹痛を意味していますから、げっぷ不足〜腹慢や便秘からくる夜間の腹痛が原因の泣きですので、日本独特の『夜泣き』とは違うと考えられます。
さらに驚くべきことに、我々と同じアジア人国家でも他国では夜泣きに相当する言葉が無いそうです。
このことから、日本の国民性や社会性、文化、親の養育態度との関係も疑われており、日本の親は多少泣き声に慣れる必要もあるのではないか?と言う人もいます。
発生原因
○それゆえ『わが国独特の夜泣き』は不明な点が多いものの、乳児夜泣きでは睡眠サイクルの不安定さが原因ではないかと考えられています。
また、情緒制御システム不安定な状態では睡眠が浅く、直ぐめざめてしまうということが、睡眠サイクル不安定を助長しています。
☆成人と違う睡眠サイクル
赤ちゃんの睡眠サイクルが変化していく過程で、夜間を夜間と思わない→
眠くない→起きていても(両親は寝ていて)刺激が無い(刺激がほしい)→泣く
☆情緒制御不安定
睡眠が浅い→すぐ目覚めてしまう→不安を感じる→泣く
※睡眠サイクル不安定と情緒制御不安定は混在する可能性が高い。それは、夜泣きをあやすことに親が疲れ果ててしまうと、それによって子供の情緒制御の発育が遅延してしまうからです。
発生時期
3-4ヶ月以降〜1歳(〜2歳)
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経験あり |
今もある |
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1歳6ヶ月児の母親へのアンケート |
30.4% |
29.5% |
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3歳児の母親へのアンケート |
35.5% |
9.1% |
予想されている実態頻度は50〜60%
人間の表情や動きを認知し、その意味を読み取る事ができるようになる時期から発生する。というのが、特徴です。
夜泣きの関係性障害 『夜泣き→児・両親ともにおこる睡眠障害→親の無表情やキレル行動→親・児ともに起る情緒制御不安定→夜泣き悪化』
という、ぐるぐる回る悪循環を言います原因 1)夜泣きする子ども自身に問題がある場合
【児の気質として自己欲求が激すぎる場合(大脳辺縁系の刺激が多い児や、前頭葉の発達の遅い児)】
2)親に問題がある場合
【すぐに切れる。児へのダメだしが多い、無表情な育児が多い】
3) 1)と 2)の混合この問題は奥が深く、第三者からでははっきりつかみ難い部分です。まるで、卵が先か、鶏が先かという議論に似ています。
親がおかしくても児はおかしくなるし、児がおかしくても、親が欝傾向〜おかしくなります。お互いが影響しあっています。
このような状態に陥っているとき、だれが原因であるか?についてはあまり言及しても意味がありません。私たちのところに相談にくる時点で、すでにどちらも原因であり、結果であるという状態であるためです。
これを解決するためには、どちらにも問題があるというスタンスで、改善させるアプローチが必要となります。
対処方法
1:昼寝を旨く調節し、睡眠サイクル安定化に勤める2:鎮静作用のあるものを使用する。
- 昼間できるだけ相手をしてあげて、起きている時間を長くする
- 昼寝の時刻、持続時間と昼寝中の睡眠の深さを調節し、夜に眠くなるように誘導する。(暑いところ、明るいところで昼寝すると睡眠が浅くなります。昼寝の時刻をずらしたければ、昼寝前に楽しい遊びを入れてあげます。早く昼寝させたければ、早く起こして、楽しい遊びで疲れさせ、昼食時間を早めます。昼寝を長くしたければ、昼食量を増やし、心地よい暖かさのところで眠らせる。)
- 朝〜昼のお散歩(に体力を消費させる)、夜は部屋を暗く【昼間太陽光に当てることでメラトニン(睡眠誘発ホルモン)分泌リズム、体内リズムを作る:※ただし、夏場は日焼け対策を。】※適度にということは?→あまりに興奮しすぎる事があると、情緒不安定を助長し、夜泣きが酷くなる場合があります。
3:情緒制御安定に努める。
- スキンシップ:添い寝をする(添い寝おっぱい:ただし、窒息に注意)・絵本(10ヶ月くらいから)
- 吸てつ反射による鎮静:おしゃぶり(夜だけのおしゃぶりは歯並びへの影響は考えなくて良い)
- 満腹感による鎮静作用を利用
- 寝前のミルク(肥満に注意また、歯が生えた後は虫歯の原因になるので使えません。)
- 夕食をたくさん食べさせる。
- お風呂上りの体温上昇→低下による鎮静作用を利用する。
- 入眠儀式を作る。
- 振り子式ラック:3−4ヶ月まで
- 心音が鳴るおもちゃ:3ヶ月まで。
- 夜泣きをあやす時は笑顔で。(3-4ヶ月から大人の表情を理解出来る)
- 『母の笑顔が消えてくる様なら父親にバトンタッチ。(時間交代、曜日交代でバトンタッチする。)これでもダメなら祖父母も巻き込む』
- 赤ちゃんが寝ている時間は出来るだけ自分も眠って体力を温存する。
- 一人で苦労を背負い込まない。能面のような顔であやすくらいなら何もしない。(能面のような顔であやしてもその顔に不快を感じて余計に泣いてしまうという悪循環に入ります。)
- 親自身がストレスを発散し、精神状態を安定させつつ、子供の情緒制御を育む育児に勤める。
- 子供が興奮するような遊びや関わりを睡眠前に行わない
全ての夜泣きに対してあやし続ける必要はありません。
(これは、あやすことに親が疲れきってしまうと子供の情緒制御が不安定となり、さらに夜泣きを悪化させてしまうからです。)
放置する場合は、放置する時間(30分程度)を決めて対応する事が望ましい。
※1歳6ヶ月を越えても夜泣きが続く場合は、『あまえ』の部分が入っているというグループ(国際不眠学会)がいますが、あまえによる夜泣きは通常入眠時の泣きなので、中途覚醒で泣く場合は睡眠サイクル未完成と考えるべきでしょう。
『あまえ』を欲する理由はその子どもを取り巻く環境(社会、兄弟)からのストレスに対抗する事が出来ない場合を考える必要があります。
あまえ足りない子どもには、一定期間十分なあまえを必要とすることがあります。よって、夜間は放っておく態度を強めたとしても、昼間の親子間でのholding(抱きしめてあげる行為)は多めにしてあげてください。なお、"あまえさせてあげる(holding:抱きしめる、おんぶ、添い寝、親子入浴)"と"甘やかす(何でも希望通りにする、やってはいけない行為を放置するetc)"とは全く違う行為ですので、注意してください。甘やかすのはいけません。
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生馬医院
小山博史
和歌山市吉田436