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近年増加している樹木系花粉症

近年増加している樹木系花粉症

スギ・ヒノキ花粉の飛散量予測と、飛散量報告は、気象庁をや環境省花粉観測システム(通称はなこさん)など通じて、ほぼリアルタイムに毎年報告されており、大変便利になってきています。

こういったリアルタイムの報告は、自動測定器によるものですが、自動測定器は、スギ花粉を主に計測する測定器で、吸引した大気にレーザー光を照射し、その散乱光の量から粒子の大きさを判別、散乱光の数から粒子の数を求めるものであり、1 時間毎に計数されています。

 が、近年、スギ花粉飛散終了後から、アレルギー症状(鼻炎、鼻出血、結膜炎、顔面皮膚炎、気管支喘息発作、じんましんetc)を訴える患者が増加傾向にあり、その原因として、スギ、ヒノキ以外の樹木系花粉アレルギーが注目されてきています。

 しかし、その樹木系花粉の飛散状況の詳細な調査は、目視でなくては、わからず、他の地域では行われ始めていますが、和歌山市というか、近畿では、報告されていません。

 昨年、生馬医院では、和歌山市黒田町において、年間を通じて飛散する花粉種類と花粉量を初めて調査し、当院HPで報告しました。(論文にしてないところがすみません)

 そんな中で、この時期、スギ、ヒノキ以外の花粉調査が、かなり困難であるということを述べてみたいと思います。
 
 ということで、今回は、個人的な独り言と思って執筆しております。

黒田町周辺に見かける樹木の種類

 花粉辞典をみて、いきなり空中採取した花粉から同定しようとしても、無理があるので、まずは、樹木の種類を調べてあたりをつけます。

 そうしますと、周辺で花粉をばらまきそうな風媒花系樹木は、ブナ目ブナ科、クスノキ、ケヤキ、ヤマモモでありました。

ブナ目ブナ科

東公園のブナ属の花(春なのに、葉が黄色みを帯びて開花している)
大新公園のブナ科コナラ属シラカシの花、新南公園にもあります。

大新公園のブナ科コナラ属シラカシの花。新南公園にもあります。

 ブナと聞いてわからなくても、『どんぐりが出来る木です。』と言えば誰でもわかると思います。ほとんどの公園に植えられており、日本のどこの山にも生えている落葉広葉樹林であり、日本の天然林の優占種です。被子植物でありながら、風媒花です。 文献上、近年増加が伝えられている花粉症の原因です。当院では1位スギ、ヒノキ、2位ブナといった感じです。
 そのアレルギー抗原は、ハンノキ、シラカンバと一部共通のため、ハンノキを調べておけばよいとする文献もありますが、当院の患者様のデータでは、ブナとハンノキの反応は、かなり違いまして、ハンノキで弱陽性でも、ブナは強陽性という方が多数いらっしゃいます。ハンノキやシラカバと同じ抗原を持っているため、バラ科果実に対する口腔アレルギー症候群を伴う場合もあります。
当院でのブナ花粉症の程度と口腔アレルギーの関係

 血液検査では、測定可能ですが、テスト用アレルゲン試薬がありません。ので、パッチテストなどで、接触性皮膚炎があるかどうかの検査はできません。

花粉画像

通常の形(おにぎり型をしている)
水分を含むとかなり丸くなる
花粉の傾きによってさまざまな形になってしまい、特定しにくい。

 花粉の特徴は三角おにぎり型で3つの発芽孔ですが、水分を含みすぎると丸くなりますし、花粉の傾きによっては、ラグビーボール状にも見えますので、採取した花粉が特徴的な三角おにぎり型で見えない場合は、不明の花粉扱いになってしまいます。

 花粉図鑑をいくら読んでも、勝率30%くらいでしか特定できる自身はありません。昨年静岡の先生が伊東市で調査した12年間の結果では、年間の最大花粉飛散量は136~34個/cm2/dayで、平均108±98個だったそうです。

 一方、2013年の和歌山市のブナ最大花粉飛散量は58個/cm2/day(2013/4/25~5/1)でした。

 気象要因としては、前年最低気温が花芽分化と関係している事が分かっており、4 月下旬~5 月中旬の気温条件が繁殖休止の合図となっており、最低気温が平年の約1℃ 以上高いと翌年の開花が抑制されると報告されています

 ブナの実(花)は5~7年に1度の周期で豊作となる(マスティングと呼ばれる)成り年があり、花粉飛散量もこの周期で急に(10倍程度)増加するため、同様にこの周期で症状を訴える患者が急増するだろうと予想されます。

 花粉の飛散距離は通常30m程度ですが、偏性風に乗ると100kmまで飛ぶとも言われています。当院の観測地点の30m以内には、ブナは1本もない(直近で1km)にもかかわらず、これだけ飛んでくるのは、実際はかなり風に乗るのだということだと思います。

マツ

 裸子植物の風媒花です。抗原性が低く、アレルギー症状の人は少ないとされていますが、当院のRAST検査ではケヤキより多いという印象です。顔面皮膚炎の原因となりうるという報告もあります。

花粉画像

マツの花粉X400

 大きさが40~50μと大きいわりに左右に2つの気嚢を持つことで浮力があり、見かけ以上に飛ぶ事ができます。しかし、その飛距離について詳しい文献はネット上では見当たりませんでした。


ニレ科ケヤキ属

和歌山駅東口のケヤキの花

  被子植物でありながら、風媒花です。ケヤキ大通りと和歌山駅東口に植えられています。これも花粉症の報告はありますが、その頻度は少ないと報告されていますが、当院の血液検査では、高値の方をときに散見します。




花粉画像

ケヤキの電子顕微鏡写真。みる角度により、五角形、四角形、楕円にみえる。四角形~五角形に見えるケヤキ花粉。楕円形にみえるケヤキ花粉

 花粉は5角形ですが、実際はその角度により、四角形に見えたり、楕円形に見えたりするため、空中花粉からの特定がかなりむつかしいです。よって、十分にその数を観測出来ていない可能性が高い花粉です。

 そのため、花粉症の実態もうまくつかめていません。

ヤマモモ

公園によく見かける山桃の花

 被子植物でありながら、風媒花です。和歌山市内の公園樹木として多用されています。ヤマモモアレルギーの報告はあるものの、それほど多いものとしては報告されていませんが、検査キットがないだけで、実際多いのかどうかわからないだけかもしれません。この花粉症は血液検査ができませんし、抗原液も販売されておらず、これだけ公園に多数植えられているのでアレルギーの人はいそうに思うのですが、何とも歯がゆいです。

花粉画像

山桃の花粉。白樺にそっくりです。

 低木のため、それほど遠くには飛ばないと考えられます。観測地点から最も近い山桃は、1km付近の大新公園です。






クスノキ

 道路沿いの植木、神社などに多く植えられています。花の見た目とは違って、被子植物で、虫媒花(アブなど)ですので、アレルギー症状の人は少ないとは思いますが、クスノキアレルギーは存在はしているそうです。クスノキ木科で、アボガドと同系のため、アボガドアレルギーがある人(アボガドで口がしびれる人)がクスノキアレルギーと考えられます。血液検査は昔はありましたが、今は出来なくなっていますので、なかなか確定診断ができていません。

花粉画像

花から直接採取した直後の花粉採取後20日後のクスノキ花粉(崩壊している)ダーラム収集器でとらえたクスノキらしき花粉
 クスノキアレルギーが少ない割に存在するのは風で飛んでいるからだと思われますが、その花粉は自己崩壊性が強く、雨などで容易に崩壊していきます。どの程度の環境で、どれくらいのスピードで崩壊するかは調べた範囲ではわかりませんでしたが、実際花から直接採取した花粉は、表面の膜が20日で溶けて、内部も崩壊しはじめるのが観察されましたので、空中を飛ぶ花粉がどのような形態になっているか、知る由もありませんので、この花粉が実際採取した検体内にあるのか、イネ科と思っているのか、不明です。右端の花粉写真は、実際に空中飛散しているものをダーラム収集器で採取した検体の中で、クスノキとしか考えられない花粉の写真です。

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