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経皮感作における食物アレルギーの問題

経皮感作における食物アレルギーの問題

Lack仮説

ここ数年のアレルギーにまつわるトピックは、二重アレルゲン暴露仮説(Lack仮説)が、どこまで、アレルギー全般を説明できるか、という所であります。

ちょうど、本日の朝日新聞に良い説明図がのっていました。

 本年のアレルギー学会後からメディアで紹介されることが増えているので、ここでまとめておきたいと思います。




Lack仮説とそれを支持する論文

食物アレルゲンの経口暴露は、経口免疫寛容により、トレランスを誘導

口腔~腸管系の免疫樹状細胞は、接触するアレルゲンに対して寛容的に作用し、治癒に誘導する。

小さいうちから卵を食べている人ほど、卵アレルギーが少なく、小さいうちに制限していた人ほど食べれなくなっている可能性がある。

バリア機能の障害された皮膚への暴露は経皮感作によるアレルギーを引き起こす。

一方、表皮に存在する免疫樹状細胞は、接触するアレルゲンに対して、敵対的に作用し、アレルギー反応を誘導する。

皮膚に界面活性剤と卵白を塗布すると卵白アレルギーを誘発できる。

『界面活性剤を塗り皮膚を弱い状態にしたマウスに、卵白に含まれるアレルギー原因物質の卵白アルブミンを塗り続けた。するとマウスはアレルギー体質になり、その後卵白アルブミンを口から投与すると、アレルギー症状を起こした....

 一方、皮膚に界面活性剤と卵白アルブミンを塗る前に、卵白アルブミンを口から投与したマウスでは、アレルギー症状も出なかった。』

  1. 乳児湿疹が出現する前に卵などを食べていれば食物アレルギーが防げるのか?ということになる。しかし、乳児湿疹の出現時期は悲しいかな離乳食開始前がほとんどである。また、これが真実なら、後述する、茶のしずく石鹸事件ではすでに小麦を食べていた成人が小麦アレルギーを誘発されており、この結果と矛盾する。
  2. 界面活性剤(いわゆる石鹸)が皮膚に残っているとアレルギーを誘発しやすい可能性が出てくる。(アトピーによく使用されている保湿剤にも界面活性剤は使用されている。)

角質細胞の主要タンパク質であるフィラグリン遺伝子の欠損があると、花粉症の発症率が2倍になる。

 実際に、Lack仮説がすべてのアレルギーを説明しているとは言えませんが、少なくとも近年増加傾向にある食物アレルギーの多くを説明していると考えられてきています。

と、いう事は?

今後のやるべき事

  1. 皮膚を治せば、他のアレルギーへの進展(アレルギーマーチ)を止められる?
  2. 口から食べれば、食物アレルギーを治せる?
  3. 乳児期から食べれば、食物アレルギーを予防できる?
    という事になりますので、大事な事は、

皮膚炎を早く正常な状態に維持する事が重要

とにかく、一時的に強いステロイドを使用してでも皮膚炎を早期に治癒させ、正常なバリア機能をもった皮膚で保っておく。うまく治らない部分には、食前にワセリンで保護する。などが有効手段として考えられます。

スキンケアの大切さ

 皮膚を守っている角質をカバーしている体脂もアレルゲンの侵入を防いでくれます。よって、巷では、ワセリンでスキンケアなどを行っているのですが、そもそも、お風呂で石鹸を使用すると、大切な体脂が取れてしまいます。小児科医会の調査では、お風呂での石鹸を中止しただけで皮膚炎の改善が見られるケースが多い事が示されています。
 皮膚には、不要なものは出来る限り塗らない方が良いわけですから、石鹸でわざわざ体脂を取り除いてワセリンを塗るというのは、非効率ですので、お風呂では石鹸を極力使用しない方が良いということになります。
※とびひ や 脂漏性湿疹は石鹸を使用した方が良いと思います。

4-6か月から積極的になんでも食べる。

 酷い乳児湿疹の無い方は、積極的に加熱卵の入った離乳食を食べるべきです。

 しかし、乳児湿疹の酷い人の場合は、既に卵アレルギーを獲得している可能性があり、心配な人はまず検査をするべきなんですが、そこで、今までは数値が高くて、卵除去で湿疹症状の改善があれば、除去を1年ほど続けていたわけですが、今後はあえて少量の卵を食べさせるという方向に行くかもしれません。ただし、少量というのが曲者で、量を間違うと、アレルギー反応が出てしまいますので、このあたりは、もう少し議論が必要なんだと思います。

やるべきでない事

  • ステロイドを拒否して、漢方だけなどで皮膚炎治療を行う事は、食物アレルギーから花粉症、喘息までのすべてのアレルギーへとわが子を誘導しているようなものかもしれないという事。
  • 界面活性剤が使用されている保湿剤(ヒ●ド●ドや、ビー●フテ●ローシ●ン)の常用は控えた方が良いかもしれない
  • 石鹸で毎日体をごしごし洗う事は控えた方がよい
    但し、界面活性剤や接触性皮膚炎原因物質が入っているような塗薬を毎日塗るような人は、洗わないと悪化するでしょうが、本来は、そういう薬を使っているのなら変更する必要があるかと思います。

わからない事

皮膚バリアが障害された状態で食物を食べたらどうなるのか?

例えば、一般人は、自分の子供に皮膚炎があるのか、十分に判断できません。皮膚が赤くなければ、皮膚炎は無いと思っている方々がほとんどです。そういった方々が、早期に食べた場合、食物アレルギーが増加しないのかどうか。

 茶のしずく石鹸事件では、すでに小麦を食べていた方々が、茶のしずく石鹸を使用する事で、小麦アレルギーを発症してしまいました。食べる事による治癒作用よりも、皮膚につける事による悪化作用の方が強いのではないかという事になります。

 とにかく、乳児へのスキンケアを徹底させる事が重要であります。

やってほしくない事、迷惑な事

 食べた方がアレルギーが治るという事で、他の医院などで、気軽に『食べた方が治るから食べなさい』と言われて、全身蕁麻疹出現して、なぜか当院へ来院してくる方が増えています。

少なくとも、

  1. 食品で全身反応が出た経験がある方
  2. IgE RASTで強陽性の方
  3. プリックテストで強陽性の方
    は、当院を含め、アレルギーに詳しい医院や病院で食物負荷テストを行って、食べても大丈夫な食品やその量を指定してもらって食べるようにしてください。

 症状が出るような食べ方をすると、アレルギーは悪化します。食べて治る食べ方は、『症状が出ない、または、極軽度の発疹程度で済むような』食べ方です。

自宅でチャレンジする場合の鉄則

食物アレルギーと言われている方で、もし、自宅でアレルギー食品をチャレンジする場合は、以下の条件を守ってください。

  1. アレルギー発作が起きた場合に、来院する予定の医院にまず相談してから開始する事
    (ショックで飛び込んで来られると、業務が停止しますので、困ります。)
  2. 平日の朝9時に実施して、発作が出たら来院出来るようにしておく事。
    (土日祝日は無謀ですし、月曜日は医院が混雑していますので、迷惑な事が多いです。)

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