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熱中症 – 生馬医院お知らせブログ – 和歌山市 の小児科 生馬(いこま)医院|小児科 ・ 内科 ・ 循環器科 ・ アレルギー 科 呼吸器科なら 和歌山市 の 生馬医院

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 さて、今年は、世界的に、史上最高気温となるというニュースも流れております。
 関係ないですが、わが家に存在していた使われていなかった井戸水も、先日復旧工事しまして、水不足対策しております。

 ということで、今回は、熱中症の種類について、考えてみたいと思います。

 熱い真夏に高熱が出ると、熱中症ですか?という主訴で来院されることが増えます。夏の代表的な感冒であるアデノウイルスは、40度近い高熱を出しますし、通常開業医に来院できる意識状態の高熱であったり、高熱が翌日に及ぶ場合は、熱中症以外です。後述しますが、40度近い乳幼児を連れてきて『熱中症ですか?』は『虐待ですか?』と同義です。

 熱中症(heat illness)について、詳しいサイトは、日本体育協会のHPですが、ここには、熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病の4つだけが分類されています。

 しかし、"かくれ脱水" も当院では熱中症の中に入れたいと思いますし、その他、ネルソン小児科学では、熱浮腫、熱テタニー、なども記載されていますし、なんと、UPtoDateでは汗疹(あせも)も熱中症に入ってました。

重症度の分類では軽い物から1、2、3度まで分類されています。

治療は、冷やす、塩分と水分の補給、安静です。
熱虚脱や熱痙攣には漢方薬を使う場合があります。

目次

頻度

年齢別熱中症発症数と重症度
 2010年に集計された、全国救急センターのアンケート調査で得られたデータグラフで見ますと、一般的には小学校入学後からの病気であると考えていただいて結構です。

※乳幼児でII度以上の熱中症(脱水を伴う)を診断した場合は、虐待を否定しなくてはなりません。

 

生馬医院的、熱中症の分類

I度熱中症(深部体温は正常範囲内)

熱虚脱(heat collapse)

炎天下にじっと立っていたり、立ち上がったりした時、運動後などで、血管の拡張と下肢への血液停滞のために血圧が低下、脳血流が減少しておこるもので、血管拡張による頭痛や、めまい、動悸、嘔気、嘔吐、呼吸苦などの症状がみられます。足を高くして寝かせると通常はすぐに回復します。

熱失神(heat syncope) はこのうち、脳血流減少がひどいために、失神(意識消失、酷いと全身痙攣)を伴うものを言います。

 これは、熱のせいか、本人の問題か?難しい所もあります。
そもそも、小学校高学年~20歳頃まで、起立性調節障害というものがありますので、この病気がある人は、夏に悪化します。日ごろから寝起きが悪い、午前中だるい などの症状を訴えている場合、熱失神というより、高気温のせいで起立性調節障害が悪化したというべき時もあります。

熱けいれん(heat cramp)

 痙攣といっても意識を失うような痙攣(seizure, convulsion)ではく、こむら返り(cramp)です。建築関連の方に非常に多いです。炎天下、滝のように汗をかいて、塩分喪失が起こると、筋肉が収縮したあと、拡張できなくなります。予防には、塩分の多いイオン水塩飴が良いです。

熱浮腫(heat edema)

 熱に最初に曝されたところに生じる手足の浮腫で、先端優位におこる、間質液貯留に伴う血管拡張が原因です。

熱テタニー(heat tetany)

 熱性過換気によって起こる手足のしびれや、痙攣~硬直で、過換気症候群と同義です。

II度熱中症(深部体温は37℃~40℃未満)

熱疲労(heat exhaustion)~かくれ脱水

 熱虚脱に発汗による脱水が加わったもので、軽度の発熱を伴います。
 脱水がありますので、口の中は乾いています

 脱水と皮膚血管の拡張による循環不全の状態であり、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられます。イオン水などで、水分と塩分の補給で回復しますが、嘔吐などで水分補給ができない場合は、点滴が必要となります。

 この原稿執筆中にも来院する、ウイルス性感染性胃腸炎(ノロ、アデノ、ロタウイルス、エンテロウイルス系等)によるものと基本的に症状は同じですので、鑑別は、(炎天下での活動の同日直後から、保育園や小学校での活動の場合は、同日に同じ症状の人が多量に発症しているか、唾液減少があるか)などが有用な情報となります。基本、脱水がおこっているので、口渇があり、尿量は減少しています。感染性胃腸炎の場合は、嘔吐が続いてから脱水になります。つまり、発熱・嘔吐→脱水→唾液や尿量の減少、または、嘔吐→発熱→脱水→唾液や尿量の減少の順になりますが、熱疲労の場合は、熱暴露→発熱・脱水(唾液や尿量の減少)→嘔吐の順になります。

 微熱を伴いにくい、熱疲労の一歩手前を "夏のかくれ脱水" と言います。

かくれ脱水って?

 高齢者は体液量が体重の50%近くまで減少し,既に脱水傾向の上にリザーブとなる細胞内液が少なく脱水が悪化しやすい。よって脱水症の危険性が高い乳幼児と高齢者は,早期発見と早期対応が求められる.特に高齢者は,暑さやのどの渇きを感じにくいので,暑さを避けることや水分補給が遅れがちとなる.そこで,「脱水」を常に意識してもらうために、かくれ脱水と名付けられました。その症状のチェックシートはコチラ。

 皮膚血管の拡張による循環不全の状態であり、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられます。スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給することにより通常は回復します。嘔吐などにより水が飲めない場合には、点滴などの医療処置が必要です。

III度熱中症 (深部体温は40℃以上)

熱射病(heatstroke)

 過度に体温が上昇(40℃以上)して、脳機能に異常をきたし、体温調節が破綻した状態です。
 数々のサイトカインが分泌され、インフルエンザ脳症と同様の状態になっています。種々の程度の意識障害がみられ、応答が鈍い、言動がおかしいといった状態から進行するとこん睡状態になります。

 高体温が持続すると脳だけでなく、肝臓、腎臓、肺、心臓などの多臓器障害を併発し、死亡率 が高くなります。

 死の危険のある緊急事態であり、救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げられるかにかかっていますので、開業医の受診ではなく、救急車を要請してください。

 小児でこの状態になりやすいのは、炎天下、エンジンを切った車内に子供を放置した場合です。つまり虐待です。

Q&A

現場で高体温でなく、あとから高熱が出る事はありますか?

  • A:基本、体温中枢に異常がくるのは、熱射病(III度熱中症)ですので、これは、現場で高体温になっているはずですし、意識もおかしくないと症状が合致しません。
     次に、かくれ脱水の場合は、あとで、微熱が出る事があるかもしれませんが、その時、口腔は唾液が枯渇して、カパカパである必要があります。
     だいたい、当院にそういう訴えで来られる人のほとんどは、夏風邪(アデノウイルスなど)で、口内は潤っています。

病院に来るまでの対応方法を教えてください。

  • A:学校安全Webにわかりやすい絵がありましたので、貼り付けます。
    熱中症の応急処置

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