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2020年新型コロナウイルス禍

2020年新型コロナウイルス禍

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2019年12月、武漢から始まった新型コロナウイルス感染症。2020/2/13、ついに和歌山県有田市で外科医の感染が確定されたそうです。また、同病院を受診していた農業関係者でこの医師と接触していない方の感染も確認されたようです。(感染源は今のところ不明。病院は閉鎖中とのこと


本感染症については、重いやら、軽いやら情報が錯綜しておりましたので、ここらでまとめておきます。

主な症状

平均潜伏期間 3~7日(最長で14日程度)
初期症状は、いわゆる『普通の風邪』です。

  1. 軽度の鼻汁
  2. 軽度の咳
  3. 発熱
  4. ときに関節痛など
    稀に悪心、嘔吐、下痢

日本成人における重症化と治癒のターニングポイントは上記症状出現後7日目だそうです。

アメリカ人1症例の臨牀経過

症状経過一例(NEJMより)
First Case of 2019 Novel Coronavirus in the United States

 敏速検査キットが無いので、臨床症状と一般検査だけから推定するとなると、以下の臨牀条件を満たす場合でしょう。

  1. 成人であるにもかかわらず
  2. インフルエンザでもないのに
  3. やたら熱と咳が続き(37.5度越えが4日以上)
  4. 抗生剤が無効で
  5. 血液検査はそれほど悪くなく
  6. レントゲンで肺炎を認める

これらの条件を満たす場合に強く疑うことになるでしょう。
2020/2/22の時点ではこれらの症状に、息苦しさなどが合併していれば、保健所でPCR検査してくれるようです。

しかしながら、今のところ、軽傷患者は鑑別不可能です。

要相談基準

2020年2月17日、厚生労働省は疑わしい症状が出た際に専用窓口へ相談する目安を公表しました。

  1. 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。
    (解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
  2. 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。

※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合

相談先

  1. 厚生労働省の電話相談窓口(コールセンター)
      電話番号 0120-565653(フリーダイヤル)受付時間9時00分~21時00分(土日・祝日も実施)
  2. 和歌山市保健所相談窓口
      電話番号 073-488-5112 受付時間9時00分~21時00分(土日・祝日も実施)

治療方針

 現時点で、タミフルなどの特効薬がありませんので、一般感冒薬、時に漢方薬を使用する事になると思います。肺炎を認めたとしても、合併症が軽微で、酸素化に問題が見られず、家庭生活ができるのであれば、家庭内安静をお勧めします。

 抗エイズウイルス薬や、抗エボラウイルス薬の有効性が伝えられていますが、ある程度重症度が高くないと、実験的治療の適応はありません。

 本疾患に抗生剤は無効ですが、他の似た疾患には抗生剤が有効なものもありますし、本疾患も、後半から細菌性肺炎の合併が疑われた場合は、抗生剤は適宜使用すると思います。

 いうなれば、タミフル発売前で、インフルエンザワクチンの集団接種中止後(30年ほど前)の、インフルエンザ大流行時の診療と同じなんでしょう。あの時の総合病院小児科は結構大変でした。老人も沢山の方が亡くなったそうですが、今回は呼吸器内科系が大変になるかもしれません。

主な感染者

50%は50歳以上。
感染者としては、相互交流の多い労働人口群の中の最高齢者にあたる60台が多いようです。
小児も感染しているようですが、軽症のため、集計に入っていないようです。
小児に関する考え方は小児科学会からQ&Aが出ています。
妊婦から新生児への感染も見られていますが、SARSやMARSなどと比べ、胎児への悪影響は今のところ認められていません
感染年齢
Epidemiological and clinical characteristics of 99 cases of2019 novel coronavirus pneumonia in Wuhan, China:a descriptive studyより引用
30歳代でも発症する人はいますが、少ないようです。
別の集計では、感染者の64%は自営業者とでておりまして、そういった意味で、開業小児科医や呼吸器内科医は自分自身が重症化のリスクが高いと言えます。→ので、夏まで院長は厳重マスクと手袋します。時に眼鏡もします。

重症化要素

現在分かっているものは2つだけ
Epidemiological and clinical features of the 2019 novel corona virus outbreak in Chinaより)

  1. 男性
  2. 60歳以上

その他、注意を要するリスク要因として、MERSウイルスと同様に、アンギオテンシン変換酵素2型レセプター(ACE II)を介して体内に侵入する可能性が高いようなのですが、これらのレセプターは高血圧患者さんや、慢性腎疾患患者さんと関連が深いレセプターなので、こういった合併症をもった高齢の男性は重症化する恐れがあります

感染率と死亡率

再生産率R0=2.23~4.82(新型インフルエンザは2~2.4)
※再生産率R0(1人が何人に感染させるか?という感染力の数字)

死亡率CFR=2.02~4.59%(新型インフルエンザは最大1.5%程度)
Epidemiological and clinical features of the 2019 novel corona virus outbreak in Chinaより)

 本疾患の重症患者におけるインフルエンザとの違いは、直接重症肺炎を引き起こすパターンが多そうだという事です。

 インフルエンザのように感染後の細菌性肺炎など二次的合併症による肺炎ではなく、直接肺胞でウイルスが増殖する一次性肺炎の場合、中国で出来ずに日本でなら出来るという特異的な治療はあまり多くありませんので、患者数が増加してきた場合、中国で算出された死亡率CFRをどれだけ下回れるかは未知です。

 

感染経路

感染形態は飛沫感染で、インフルエンザと同じ。
唾液、鼻汁、涙、糞便などから分泌されます。
くしゃみをすると2m(最大5m)程度まで飛び、空中に飛び出したミストが45分ほど浮遊する可能性がありますので、換気も重要です。

ミストの吸い込みや、目にツバキがついたり、触った手で目や口や鼻を触る事で感染します。

皆さんがやっておくべきこと

基本的に新型インフルエンザ対策と全く同じです。

軽い感冒症状でもマスクをしましょう

ちょっとした、鼻汁や咳でも、今後は、それが新型コロナウイルスである可能性がありますので、老人にうつさないよう、マスクを着用しましょう。

小児科を受診するお子様も同様、軽度でも、マスクを出来る限りお願いします。

手洗いも

鼻汁などを触った手による汚染も考えて、手洗いを。
マスクの表側にはウイルスが付着していると考えて、触ってしまったら、眼や口や鼻を触る前に、手洗いを。

 また、アルコール消毒液で簡単に死滅しますから、手洗いが出来ない場合は、アルコール消毒液でもかまいません。
(消毒液が売り切れの場合は、無水エタノールと水を7:3の比率で混ぜれば出来上がりです。)

軽い感冒症状でも祖父母から離れましょう

とにかく、60歳以上の祖父母にうつさないようにしましょう

家で安静を

検査キットはありませんし、特効薬もありませんので、軽い症状で病院を受診してもあまりメリットはありません。
 60歳以上の方は、軽い感冒症状でも、大事を取って休んでおきましょう。息苦しさを感じた場合は病院を受診しましょう。

公共交通機関の使用を控える

少なくとも混雑時に乗り合わせたら、一気に感染拡大します。
乗車率20%くらいでないと、感染拡大がはげしくなるそうです。

集会への参加は控える

数百人以上の大規模の集会への参加は控える方向で。

クリニック受診は、ネット受付を利用

 Web受付を利用して、院内での待ち時間をへらしましょう。

 また自宅近くの薬局での院外処方を希望される場合は、医師にご相談ください。自宅近くのかかりつけ薬局がある場合は、そこにあらかじめFaxを飛ばすことで、薬局での待ち時間を減らせますし、薬局によっては、宅配で届けてくれる場合もあります。

 このように、一か所での待ち時間を減らす事を時間的隔離と言います。

換気

 密閉空間では浮遊ウイルス粒子(ミスト)で集団感染し易くなると考えます。
 ちなみに、当院では常時5台の換気扇で院内換気を行い、昼休憩時は、窓全開で空気入れ変えしています。

今後の見通し

R0が2-3という事で、インフルエンザよりやや感染しやすいと考えておいた方がよいです。
 新型インフルエンザは神戸で感染者が発見されてから2-3か月で和歌山市内流行となりました。

 今回、新型インフルエンザと比べて検査されている人が少ないので、あと1か月くらいで市内流行のつもりにしておくべきかと思います。

 武漢では気温10度以下となってから急速に流行し始めたそうなので、気温が上がればましになるとは思いますが、SARSの流行が中国で止まったのは7月であったことを考えると、暖かくなっても流行はつづくかも知れません。オリンピック開催は危うくなるかもしれないし、日本国内で感染者数が増えると、他国のCDCが一斉に日本への渡航制限をかけるでしょうから、インバウンド関連の経済損失が馬鹿にならない可能性があります。

 考えられる今後の感染順は

  1. 働き手で若い成人→会社
  2. その家族~子ども
  3. 保育園や学校
  4. 孫を介して定年退職後の老人

といった経路が考えられます。
(無論、満員電車で介護施設へ通勤して老人へ、や、孫の鼻かぜの受診を祖父母に頼んで、など、この経路を飛び越えてくる場合もあるでしょう。老人が多い職場【介護施設や病院etc】関係者は、自らがスプレッダーにならないよう注意が必要です。)

定年退職後の老人において感染が始まると、死者数が増えてくる可能性があります。

感冒罹患後2週以内の孫は祖父母に会わない方が良いのかもしれません。

2020年は3. くらいまでで流行が止まれば、来年は皆が抗体持ってるので、祖父母は守られる?

そして、一般感冒へ?

 今年の7月までには一旦流行は止まるでしょうけど、これだけ人間に親和性が高く、若年者を死亡させないウイルスであれば、翌年の冬も当然流行すると思われます。

 今後は、普通のコロナウイルスの一員となって、周期的に流行するのではないかと思われ、このウイルスから逃れて生きていく事は出来ないのではないかなあと思っておりますが、

 かといって、さっさと罹って抗体つけるなんてことを大勢にされると、一気に老人感染者数が増えて病院がパンクしますので、今季は、マスクで感染を最小限におさえましょう。

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